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鶏舎盛衰記または英国 Blues 事情 : 2003-06-19
チキン・シャックと聞くと、なにを連想しますか?
'90年代前半に山岸潤史も在籍したバンド?あるいは福生のライヴハウス?やはり、30才代までの方ならそっちの方でしょうね。

さて、そんな若いみなさんがこの世に生まれて来る10年以上も前、1960年代の後半に、イギリスで活動を開始したバンドがあります。ギターとヴォーカルのスタン・ウェッブが、キーボードのクリスティン・パーフェクトとドラムのディヴ・ビドウェル、ベースのアンディー・シルヴェスターを誘って結成したブルース系のバンド、それが「Chiken Shack」です。
イギリスの同時代のブルース系のバンドとしては、有名なフリートウッド・マック、そしてサヴォイ・ブラウンがあったのですが、当時は英国3大ブルース・バンド(こら、そこ!笑わない!)と言われ、時あたかも「アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティヴァル」がヨーロッパをツアーし、バディ・ガイやオーティス・ラッシュ、ライトニンやマディ、ウルフなどがセンセーションを巻き起こした直後でございましたゆえ、ヒジョーに盛り上がった時期でした。
スタン・ウエッブ自身はウルフやフレディー・キングが好きだったようです。
ライヴ・ハウスなどをメインに活動していたチキン・シャックは '68年に『40 Blues Fingers』でアルバム・デビュー。(ほぼ同時期にサヴォイ・ブラウンとフリートウッド・マックもデビューしています)続いて『O.K.Ken?』にはハープで Big Walter Horton も参加するなど勢いもついてきたのですが、ここでキーボードのクリスティン・パーフェクトが、なんと、フリートウッド・マックのジョン・マクヴィと結婚し、主婦業に専念するため(?)に脱退してしまいました(でも、後に、フリートウッド・マックのキーボードとして復帰しちゃうんですが。そう、あのクリスティン・マクヴィです)。

しかし、ホントはそれどころじゃないんですよね。というのは、瞬間風速的に燃え上がった「ブルース・ブーム」はもう燃え尽きかけてて、時代の歯車はユックリと、キシむようにブルースをベースにしたハード・ロックへと廻り始めていたのですね。
サヴォイ・ブラウンもハード・ブーギに接近し、フリートウッド・マックはオリジナル色を強めるなど、時代の空気を掴みとってそれなりの変貌を遂げようとしていた時に、ひとりスタン・ウェッブのチキン・シャックはブルースにこだわり続けたのですが、3枚目のアルバム、『100ton Chicken』が完成した時点でメンバー間の対立がもはや修復不可能なところまで行ってしまい、結局、1970年暮にこの「初代」チキン・シャックは解散してしまうのだ。

誰もがこれでチキン・シャックは「終った」と思ったようですが、なんと、スタン・ウェッブは身辺を整理し(?)新たにジョン・グラスコックスをベースに、ポール・ハンコックスをドラムに据えた新「チキン・シャック」として再スタートを切ったのです。
新生チキン・シャックのアルバム『Imagination Lady (1972)』では、よりハードに(ま、ありていに言えば「クリームっぽく」)ブルースにアプローチして、さらにロック色を強めた、と言えるのですが、トリオでやるにはメンバーのウデが・・・こうしてチキン・シャックは再び忘却の淵に沈んでゆく。ア〜メン!

普通ならこのストーリィはここでおしまいになるハズなのですが、そこがまあ、粘るっつーか、アホというか、アルバム『Unlucky boy』でまたもや奇跡の復活!ベースをボブ・ディズリーに替え、サックスのクリス・マーサーとピアノのトニー・アシュトンの助けを借りて「ハード」路線をやめ、ブルースに戻りつつも、ややポップな香りを・・・っちゅうワケやね。
この『Unlucky boy』リリース直後にイギリスで行われたライヴを収めた、その名も『Goodbye Chicken Shuck』というアルバムがナゼか(?)手元にあり、そのライナーによると、1973/10/26、イギリス、ブルーネル大学でのライヴだそうですが、事実、スタン・ウェッブは「この」チキン・シャックも解散し、キム・シモンズに招かれたサヴォイ・ブラウンに参加してしまうんですね。ま、そのイミじゃあ「グッドバイ」かな?

このライヴ・アルバム、タイトルだけ見ると、解散が決まったラスト・コンサートで、悲壮感に溢れていそうですが、実際にはアルバム・リリース直後のバリバリ気分(?)らしく、いやあ、アッケラカンと楽しんでいます。「Everyday I have the blues」から始まるんですが、もう声が「嬉しそ過ぎる」んですよ。曲のタイトルを裏切るコト甚だしい!ま、このひとのバヤイ、「Blues」ってのが、わ〜い!今日もブルース演奏できるぜっ!みたいなノリなんですな、きっと。
次ぎの「Thrill is gone」だってそう。キンパクカンのカケラもおまへん。
こんなにブルースを楽しそうに演奏するってのも、ここまで来ちゃうと、かえって好感が持てちゃうからフシギですねえ。ま、アホはアホですが。

さて、サヴォイ・ブラウンでイチからやり直しを期したハズのスタン君でしたが、『Boogie Brothers』をリリースしたまではいいんですが、その後、彼の名はクレジットから消えてしまったのでございます。さしものスタン・ウェッブももはやこれまで・・・
それがまた、まさか「現在も」チキン・シャックで活動しているなんて!感心を通り越していささかアキレとります。その「モダーン」チキン・シャックについては、またいつか。
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by skyhigh-corp | 2003-06-19 23:18

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